999-Ep7:重力の底の墓場(前編)

松本零士・不朽の名作『銀河鉄道999』をレビューしながら、鉄郎やメーテルとともに「命の燃やし方」について考えていく企画でございます。第7話は初の前後編。劇場版にも登場したキャラクター、リューズにまつわる物語。前後編セットでまとめようと思いましたが、やっぱり1話ずつってことで。


■333と444

オープニングや本編の端々に登場する999以外の車輌が、本格的にエピソードに絡んでくる記念すべき回ですね。まずはコメット・ステーションから999を牽引していた444。カペラ4号とも呼ばれるこの車輌は、本来はカペラを起点として内銀河環状線を走っている列車で、銀河鉄道でもっとも活躍しているんだそうです。運転システムは完全コンピューター化されており、先頭車輌に流星破壊砲を2門装備しています。

そして999の2日前に重力の底に引き込まれた333。見るも無残な状態ですが、リューズによって時の流れを早められてしまい、300年近い時間を経た状態。カペラ高速線を走るこの車輌は別名"ベガラス3号"。地球発ベガ経由でカペラへ向かう列車です。こちらは運転システムを完全コンピューター化していないので運転士が搭乗する仕様。

この手の兄弟車輌たち、昔はバンダイのメカコレやポピーのおもちゃでラインナップされてて欲しかったなあ・・・。今でも入手は可能みたいですが。


■重力の底

999がリューズに導かれたのは"重力の底"と呼ばれる空間。車掌さんの話によれば、古い宇宙の航海誌によく記録されているらしく、ところどこにあるんだそうな。サルガッソーみたいなところだと。

サルガッソ海というのは実在する海域で、メキシコ湾流、北大西洋海流、カナリア海流、大西洋赤道海流に囲まれた海域。そのため海藻などの浮遊物が潮流や嵐などに流されて集まり「粘りつく海」とも呼ばれるそうな。帆船の時代、船舶が沈没したり行方不明になることが多い<魔の海><船の墓場>と言われたようですが、それは海藻のせいではなく、風の弱いエリアのため良く船が立ち往生することがあったせいだと言われておるようです。確かに子どもの頃はバミューダ海域と並んで恐ろしい場所だ・・・と刷り込まれた記憶が・・・。

それにしても今回大活躍の車掌さん、帽子無くなると透明になっちゃうんだね。


■リューズは劇場版のほうがいいなあ・・・

だいたい劇場版になると美化される傾向にある999のキャラですが、リューズはご覧の通り、その落差に驚くほど。TV版のほうが原作の雰囲気には近いのですが、やっぱ劇場版のほうが若々しくて美しい・・・。

転覆させた列車の数は999で20台目と語るリューズは、時間を操る力を持った機械化人。リューズとメーテルはお互いに名前を知る間柄。ただし、穏やかでない関係らしく、999に戻りたいというメーテルに向かって

メーテル、あなたはいいわ。あなたは私の手に負えないから・・・

と答えたリューズ。手に負えないとはどういう意味なのか? 鉄郎は行かせないと言うリューズにメーテルたちが拒否したらどうするつもりかを問うと、

時間を進めるわ。1000年、2000年分、瞬きする間に時間を進めてやる。
メーテルはともかく、鉄郎はどうなるかおわかりねぇ・・・メーテル?

とリューズ。ここでもメーテルは鉄郎とは違う体の持ち主だということが間接的に語られています。

なぜリューズが鉄郎を欲したのかは前編では語られません。ただ「一緒に暮らすのだ」とだけ告げるのみ。もちろん鉄郎は「機械の体を手に入れるから」という理由で抵抗します。このへん、ホントにブレない男だな、鉄郎。


■メーテルはなぜ鉄郎を見捨てたのか?

リューズに拉致される鉄郎を、メーテルはあっさりと見捨て、助けようとはしませんでした。それが鉄郎には涙を流すほど悲しい出来事でした。そりゃそうだ。あんなに「鉄郎、鉄郎」と可愛がってくれていたメーテルだもの。そんなあっさり鉄郎を渡してしまうの?? と誰もが思いますわ。


■エンディングナレーション

太陽系を出ると無法の荒野が広がる。
そこには、我々の世界と時間の流れが全く違うところがある。
それは"別世界"なのだ。
我々の世界とは全く違った世界。その二つが混じり合った場所では何が起こるのか?
まだ誰も経験して帰ってきたものはいない。
だが鉄郎が、その最初の人間になるのだろうか?


■次回予告ナレーション

第8話「重力の底の墓場(後編)」  

たとえ嵐が吹こうとも、たとえ石ころだらけでも、
自分の道は自分が決める。
鉄郎よ、叫べ! それが君の信念なら、それが君の人生なら。
次回の『銀河鉄道999』は「重力の底の墓場(後編)」に、停まります。

リューズはなぜ鉄郎を必要としたのか? メーテルはなぜ鉄郎を救わなかったのか?

全ての謎は後編へ。

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