11時間目:インカ帝国のヒホウ。

タツノコの名作、タイムボカンシリーズ第1作『タイムボカン』を振り返りつつ、無理矢理お勉強に繋げてしまおうというこの企画。前回は架空の人物への訪問と相成りましたが、今回はおそらく実在していた人物を訪ねる旅。といっても、具体的に名前が出てきているわけではないので、アバウトな意味では大差無いですが・・・。それではインカ帝国についてのお勉強、スタートだペッチャ!


【本編の超あらすじ】第11話『インカの宝みつけたペッチャ』 

博物館で開催中のインカ展を見にいっていた丹平たち。そこに展示されていたオウムの骨格標本を見て、妻・オタケさんだと思い込んで気絶してしまうペラ助。丹平たちはインカの時代にこそ木江田博士がいると思い、さっそく1450年頃のインカ帝国へと向かう。一方、いつものごとく盗聴していたボヤッキーたちも丹平たちを追ってインカ帝国へ向かうが、トラブルでジャングルに不時着。そこで出会ったワリンカ族たちを言いくるめ、インカのお宝を手に入れようと画策する。丹平たちのほうはというと皇帝と息子たちにインカ帝国の神様と勘違いされ、その流れでお宝の眠る場所へ案内してもらうことに。が、その道中、マージョたちに出くわし皇帝をさらわれてしまう。マージョたちのアジトを見つけ、皇帝たちを助け出す丹平。マージョ一行はメカで追撃するも、丹平の細工によってメカは空中分解し、メカブトンと交戦するまでもなく敗北。結局、お宝の正体はインカの歴史を綴った「大事な文書」でダイナモンドではなかったのだった。


■スペイン人が勝手に拡大解釈

インカ帝国というとどうしても湖池屋の<カラムーチョ>のキャッチコピー「こんなに辛くてインカ帝国!」を思い出してしまう世代です(;'∀') さて、このインカ帝国ですが、1200年頃にアンデスの山の中に誕生し、現在のペルーからエクアドル、ボリビア、チリ北部までを治めながら15世紀あたりまで反映した国であります。高度な農耕技術や金属器を使う文化を有し、なんなら脳外科手術なんかもしていたらしいと言われていますが、1533年、スペインのピサロ率いる軍勢によって瞬く間に滅ぼされてしまったと言われております。

もともと"インカ"というのは、首都となったクスコに住む小部族の名前で、彼らが中心となって帝国を築き上げたことに由来するんだとか。当時の皇帝が、インカ族と同じ言語を使用していたものを、まるっとまとめて"インカ"と呼ばせていたようですが、海の向こうからやってきたスペイン人が拡大解釈して、帝国そのもの(あるいはスペイン的でないもの)を"インカ"と言いだして、皇帝の名前もなぜだか"インカ"と呼ぶようになったんですって。

ちなみにインカ神話によると初代皇帝の名前はマンコ・カパック。なにやらオッサンたちが色めきだちそうな名前ですけども(;´Д`A ```、もともと"Manqu Qhapaq"とはケチュア族の言葉で"素晴らしき礎"という意味なんだって。よかったね。

▲右が現皇帝、左が息子。今回の事件を機に、皇帝は息子の成長を実感し、皇位継承を決断。


■インカの創造主は白人だった!?

丹平たちに向かって皇帝が呼びかけた"ビラコチャ (Wiracocha)"というのは、インカ帝国がスペイン人による侵略を受け、キリスト教が布教されるまでの時代、地元で信仰されていた神様の名前。正式には"アプ・コン・ティキ・ウイラ・コチャ神"なんだそうです。インカにおいて最も重要とされる神様の一人で、インカ文明を創り上げ、無秩序だったその地域の人々に、生きる方法を教え、人々に慈愛や親愛を説いたと伝えられておるそうな。

面白いのは、ビラコチャは"顎髭をたくわえた大柄な白人"だと伝えられていること。彼はインカの人々に農業(灌漑用の水路の造り方、トウモロコシの作り方など)や家畜の飼い方も教えてくれたり、多くの病人を治療してみせたりもしている。そんなビラコチャは、ナスカ地方のとある村でその容姿を恐れた村人から石を投げつけられた時、不思議な武器を使ってそれを防いだとも伝えられいるのですが、その出来事の後、海の泡となって消えたと伝えられています。その故事から"ビラコチャ(海の泡)"という名前がつけられたとか。神話って面白いなあ。

▲丹平たちは太陽の神殿の前に現れたせいで、創造神ビラコチャだと勘違いされる。


■インカの記録方法

物語ではダイナモンドかと期待したお宝は、"だいじなもんじょ(大事な文書)"というオチでしたが、実際のインカ帝国にはケチュア語という公用言語はあったものの、文字は存在していなかったようです。現在残っている文書は、スペインが侵入した時にやってきたキリスト教の宣教師たちが残したものばかりだそうです。代わりに彼らが使っていたのが"キープ"と言われる、紐に結び目を付けた道具で情報共有をしていた模様。

キープは太さの異なる着色された紐を二本撚ったものが束になっていて、結び目の形や紐の色、結び目の位置などで1~10,000までの数字を表すことが出来ただけでなく、言語情報も記録できたことが研究によって明らかになっているのだとか。人口や農産物、家畜、武器など資源についての統計や、裁判の記録などもキープによって残されているらしい。凄いな、インカ人!


■今週の小ネタ

まずは博物館の展示品のひとつにあったこれ。どう見ても山上たつひこ先生。死刑っ!(笑)

そして今回はチョロ坊がえらい大活躍。火を噴くことができるんですね。あなどれんませんな。


■今週のメカ

アンデスからのコンドル、ってわけで相変わらず短絡的なモチーフセレクトですが、今回は首を2つつけちゃうというオリジナリティを発揮(笑) 2つの口からミサイルを発射したり、メカブトンを食えて放り投げたり、なんなら360度回転してミサイル乱射できたりする優れものでしたが、丹平ちゃんに細工された空中分解(;´Д`A ```

▲今回はマージョ様の色仕掛けが、なかなかの効果を発揮しておりましたわよ。

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