FILE01-01:蜘蛛男

【ゲストプロフィール】 蜘蛛男(ショッカー所属クモ型改造人間)
出身:アマゾン河流域奥地 身長:198cm 体重:96kg 
『仮面ライダー』第1話に初登場。ショッカーの改造人間第1号。情報取集や拉致・誘拐が主な役割で、そのための能力を重点的に強化されている。ライダーキックによって敗北(但しライダーキックの掛け声はなし)  

―と、いうわけで『悪役たちの哀歌(エレジー)』記念すべき第一回ゲストとしまして、蜘蛛男さんにお越しいただきました。どうも、こんばんは! 

蜘蛛男(以下、蜘)「あ、どうも」 

―・・・あの、袖に隠れられても困るんでこちらのお席に。 

蜘「ああ、すまん。つい、いつも癖でな」(蜘蛛男、インタビュー用のスツールに着席) 

―では改めて、本日はよろしくお願いします。 

蜘「ところでこれは、どういうインタビューなのだ?」 

―はい。こちら『悪役たちの哀歌(エレジー)』と題しまして、これまで各界のヒーローにやられちゃったヒールの皆さまにお越しいただいて、どうしてやられてしまったのか、勝てるチャンスはあったのか、といった視点で激闘の記録を振り返りながら、後輩ヒールの皆様へのアドバイスをいただこう、とそんな主旨の企画でございます。 

蜘「要するに負け組をイヂる企画か」 

―まあ、こちらとしてはポジティブな方向で進めようと思ってますが、捉え方はご自由で良いかと。

蜘「ちっ」 

―早速なんですけれども、日本のヒーロー番組に偉大なる爪痕を残した元祖『仮面ライダー』第1話の怪人として知名度はナンバーワンとも言われますが、それについては? 

蜘「お。おお、悪い気はしないな」 

―やっぱり町を歩いてたりすると子どもたちから大人気ですか? 

蜘「ギャー!とか、気持ち悪い!とかは言われたことはあるけどな・・・」 

―怪人冥利につきますね! 

蜘「まあな」 

―ライダー初登場ということはすなわちライダーに最初にやられちゃった怪人第1号でもあるわけですが・・・ 

蜘「うるさいわい」 

―単純に考えて何が敗因だったんでしょうね? 

蜘「あのな、そもそも俺は戦闘向きの怪人じゃないわけよ」 

―あ、そうなんですか? 

蜘「そうだよ! もともと俺は諜報・拉致担当なんだから。だいたい現場は戦闘員に任せてたしな」 

―確かに配下の戦闘員の皆さんは数も種類もかなりのものでしたね。なんか、網タイツの女性バイク部隊なんかもいたりして。 

蜘「そうそう。あれはエロくて良かったなぁ」 

―本郷猛もまんまと色気に誘われて罠にかかりましたしね。 

蜘「ま、あいつも所詮は男だということだ。とはいえ、あいつを拉致ったおかげで俺の人生の歯車が狂いだしちまったけどな」 

―確かに、あれが本郷猛じゃなければ仮面ライダーは誕生しなかったかもしれないですもんね。 

蜘「そうだよ! そもそもあの緑川のオッサンがあいつを推薦なんかするから」 

―本郷とは旧知の仲だったみたいですし、彼の能力がショッカーの求める要件を満たしてたということのようですが。 

蜘「まあ、そりゃ改造人間にするなら素体は優秀なほうがいいからな。俺みたいに」 

―IQ600らしいですよ? 

蜘「ん? 本郷が?」 

―ええ。 

蜘「ほんとなのか、それ。そもそもIQって600とかまであるもんなのか?」 

―ギネス認定で最高IQの人は228だそうです。 

蜘「ほらみろ! 絶対ガセだろ、600なんて!」 

―緑川博士が出まかせを吹聴したのか、そもそも首領の拉致ターゲット基準が間違っていたのか・・・

蜘「・・・まあ、首領だろうな。あの野郎ちょくちょくおかしなこと言うからな」 

―現役離れると言いたい放題ですね。 

蜘「そりゃもう怖いもんなしだからな」 

―話を元に戻しますが、結局、敗因は本郷を拉致したせいだと? 

蜘「いや。拉致したことには問題ないだろ。俺としては役目を果たしたんだから」 

―確かにそうですね。では敗因は? 

蜘「後で聞いて知ったんだが、本郷の改造手術に問題ありだろ」 

―というと? 

蜘「なんで先に頭から改造しなかったんだって話だよ!」 

―ああ、それご存じなかった? 

蜘「知らねえよ! 俺、手術に立ち会ってねえから。担当したヤツが言うには、本郷に絶望感味合わせたくて首領がいろいろ話を聴かせたがったらしいじゃねえか」 

―ですね。どうして本郷を選んだのかとか、ショッカーの改造技術がいかに凄いのかとか、雄弁に語ってましたね。 

蜘「オマケにベルトに風当ててエネルギー充填してたって言うじゃねえか」 

―してましたね。 

蜘「普通に考えてアホだろ」 

―お、また暴言。 

蜘「そのせいでまんまと逃げられて、挙句の果てに蹴り殺された俺からしたら暴言のひとつも吐きたくなるわい」 

―まあ、確かに(笑) 

蜘「笑いごとじゃねえよ」 

―これは失礼しました。で、脱出を手引きした緑川博士と本郷を再び追うことになったんですよね? 

蜘「だな。まあ、それが俺の本来の担当分野だしな」 

―バイクで逃走中の2人を足止めすることには成功しましたね。 

蜘「結局逃げられちまったけどな。本郷のほうは崖下に墜ちてお陀仏かと思ってたのに」 

―改造人間ですもんね。 

蜘「だな。わかってるよ、そんなこと!」 

―初のライダー変身現場でした。どうでしたか? 

蜘「初めてあの時に見たよ。正直、俺に比べて全然カッコいいじゃねえかと」 

―まあ主人公ですから。 

蜘「それを言っちゃ身も蓋もないだろ」

―で、足取りを負えなくなって、緑川博士の娘を見張って二人の居所を掴む作戦に変更したと。 

蜘「まあな。緑川にも脅しをかけておいたし、必ず娘に接触すると思ってたからな」 

―狙いはドンピシャ!でした。 

蜘「立花藤兵衛にはいっぱい食わされたけどな。あのオヤジはなんだかんだとクセモノだ」 

―ああ、緑川ルリ子とひろみがすり替わってた件ですね。あれ立花さんの車の中で着替えたんでしょうかね。 

蜘「・・・だとしたら、あのオヤジ、いいもん見てるかもな。許せんな」 

―蜘蛛男さん、脱線してますよ。 

蜘「おまえがさせたんだろうが!」 

―まあまあ(笑)。で、そのすり替えも見越してましたか? 

蜘「当たり前だ。そのために立花の車にクモ型発信機つけたんだから」 

―そしてついに2人が隠れている港の倉庫を見つけたわけですね。 

蜘「まあ、見つけたまでは良かったが・・・」 

―本郷を仕留めそこなったと。 

蜘「そういうことだな」 

―そもそもあの時、なんでルリ子を殺さずに拉致っちゃたんですか? 

蜘「まあ、ほら、あれだ。日頃のクセだな。無意識に拉致しようとしてしまうんだな、たぶん」 

―しかも最高時速400kmを誇るサイクロン相手に、4tトラックで逃げられるとでも? 

蜘「あれしか近場に無かったらしいな、戦闘員いわく」 

―で、いよいよダムでの決戦ですね。また大量に戦闘員用意してましたね。 

蜘「荒事苦手だから仕方がないじゃないか。それにヤツの力も未知数だったし」 

―思った以上に手ごわかった? 

蜘「あそこまで強いとはなぁ・・・11人があっちゅう間だったな」 

―そのうちの一人は蜘蛛男さんが毒針で・・・ 

蜘「どうもあの毒針が上手いこと当らんのだ」 

―当たったことあるんですか? 

蜘「うーん・・・どうかな」 

―だったら先に白い糸で動きを封じてからやればいいんじゃないですか? 

蜘「・・・言われてみれば、そうかもな」 

―まあ結局、ダムでの戦いではライダーに追い詰められた末に蹴られてしまいましたね。 

蜘「あれは避けられなかったな。強烈だった」 

―初ライダーキック被害者おめでとうございます。 

蜘「嬉しくないわっ!」 

―まあライダーキックが致命傷になりましたが、結局のところ、負けた原因はどこにあったんでしょうね。 

蜘「そりゃアレだろ。首領がさっさと本郷を脳改造しなかったからだよ」 

―ですよね。 

蜘「おかげで後々皆が痛い目にあってるからな」 

―しかも首領は他人事ですしね。 

蜘「まあ、今更言っても仕方がないが、ボスに恵まれない組織だったな、ショッカーは」 

―でも首領、意外としぶとくて平成になっても黒幕だったりしてますね。 

蜘「憎まれっ子はなんとやらだな」 

―では、最後に後輩ヒールの皆さんにアドバイスをいただけますか。 

蜘「己の本分をわきまえよ、だな。無茶しちゃいかん」 

―今日はどうもありがとうございました。 

蜘「おぅ。にしてもこうやって写真見ると、ホントに俺隠れてばっかりだな・・・」

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