S1-Ep1 テニスラケット

海外ドラマ『COLD CASE』各話のレビューと、このドラマ最大の特徴である挿入歌について紹介していきます。舞台となった時代にアメリカでどんな音楽が流行っていたのか、僕も勉強していきたいと思います。また、同時に当時の日本の様子(世相や文化)も合わせて見てみます。


27年の時を経て新たな証人が現れたことで、1976年にフィラデルフィアで起きたジル・シェルビーの殺人事件の再捜査を進めることになったリリー。当時、地域に絶大な影響力を持っていた資産家宅で起きた事件は、利害の絡みあう関係者たちの、さまざまなしがらみによって犯人特定に至ることがないまま、ジルの母ですらその解決をあきらめていた。

「もう忘れたい」と誰もが口を閉ざす事件に、あえて切り込んでいくリリー。華奢でキュートな容貌とは相反するような、クールで芯があり力強い自信に満ちた(しかもバツイチ!)彼女にググッと興味を惹かれる展開になっています。その反面、他のメインキャストについてはまだこの時点では良く見えてきませんが、リリーという人物の描写に絞り込んだのは正解のような気がします。

物語は、最初から「こいつだろ!」てな感じで真犯人はあからさまですが(それだけに途中で、アレ? もしかして違うの?とか動揺したりしますがw)、彼の近くにいたがために、人生を翻弄された人々への同情の念を禁じえません。親の七光りで威張りちらす道徳心の無い人間は、やっぱり最悪だ(;'∀') あなたやあなたの子供の身の回りそういうタイプが居たら要注意ですよ!

▼殺されたジルの友人メラニーの現在を演じているのは、リサ・ウォルツ。海外ドラマのゲストで良く見る方です。個人的には『X-ファイル』のS1-Ep6の「影」で上司の霊にエラい目にあわされる(守ってくれてるんですけどね)秘書、ローレン・カイト役が記憶に残っています。

▼彼女の若い頃を演じているのは、ベッキー・ニュートン。当時15,6歳くらいだと思われますが、小悪魔的な雰囲気が良いですな。

原題「Look Again」(初回放送日:2003年9月28日)


1976 in MUSIC

さて肝心な挿入曲のほうですが、オープニングは、ボストンの「More Than a Feeling」。1976年9月にリリースされ、ビルボードホット100で最高5位の売上を達成し、ロックの殿堂入りを果たしています。歌詞の中の、 

大勢の人々がやってきては、去っていく
歳月が経つにつれて、彼らの顔もだんだん忘れていってしまう
でも強く想うことができれば、また思い出すことだってできるさ
夏空が見せる日差しみたいに鮮やかな記憶の中で

のあたりは、このドラマのコンセプトを彷彿とさせるものがあります。 

劇中に挿入されている曲の中で、当時モノとして、Hot Chocolateというバンドの「You Sexy Thing」という曲も。1975年10月のリリースでその年イギリスのシングルチャート2 位にランクインした後、翌年にはUSポップチャートでも3位に。1997年には映画『フル・モンティ』の劇中にも流されてリバイバルヒットしたようです。よく知らん・・・(;'∀')  

続いてもイギリスのバンド、10ccの1975年の楽曲で「I'm not in Love」。この年、全英シングルチャートで2週連続トップ、アメリカでもビルボード・シングルチャートで3週連続2位を記録した曲で、カバーも多い。日本でも日産スカイラインなどのCMソングに起用されていたそうです。・・・10ccの名前は知ってたけど曲は知らん(;'∀')

そしてエンディング曲はクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの「Have You Ever Seen the Rain?」。1970年のアルバム『Pendulum』収録曲で、1971年1月にシングルとしてリリースされ、北米やイギリスで大ヒットしました。日本では『雨を見たかい』の邦題で有名かも。ドラマではこの曲をバックに、事件解決に立ち会った登場人物たちの姿がスローモーション映像で流れます。リリース当時はベトナム戦争のナパーム弾の雨を思わせるとかで話題となったようですが、ドラマでは27年のわだかまりを流すかのような雨の描写に見事にマッチしています。このエンディングを見て、このドラマへの期待値がグンと上がりました。



1976 in JAPAN(昭和51年)

クロネコヤマトの宅急便がスタートし、日清が、焼そばU.F.O.とどん兵衛きつねうどんを世に送り出し、テレビでは『徹子の部屋』が始まったこの年。ロッキード事件が発覚し、日本の政財界がざわついて、首謀者の一人とされた児玉誉士夫が脚光を浴びておりました。彼の自宅にセスナで突っ込んだ猛者もおったようです(;'∀')

アメリカではアップルが設立されましたが、日本ではシチズンが世界初のデジタル腕時計を発売したりとデジタル時代の産声が聴こえてきた年でもあったんですね。ホンダのロードパルが発売されてCMでソフィア・ローレンが発した「ラッタッター!」と意味不明な言葉が流行りもしました。ロードパルをその名で呼ぶ人のほうが多かったんじゃないかな。

個人的には日本グランプリ初開催の年としてのイメージがデカいですが、プロレス好きな方には猪木とアリの武道館での試合が印象深いかも。野球界では王貞治がベーブ・ルースの本塁打記録を抜いた年でもありますね。

音楽の世界ではピンクレディーがデビューするとかもありましたが、なんといっても第1次ユーミンブームが最大の話題だったのかも。年間アルバムチャートのTOP20に、ベストアルバムを含む4作品がランクインしていたそうです。で、この年の終わりにユーミンは松任谷正隆と結婚して、荒井由実から松任谷由実になるわけですな。僕は当時8歳。ブームを決定づけたのは『あの日に帰りたい』だったようですが、ほんとにあの頃に戻って人生やり直したい・・・。

また、同年2月にはイーグルスが初来日し、大阪をはじめ5都市を巡るツアーを行ったそうです。1976年のイーグルスといえば、3月のアルバム『Hotel California』リリースの直前じゃないですか。リアルタイムで観たかった。まあ、この当時はイーグルスのイの字もしりませんでしたが。

最後は水も滴るリリー・ラッシュで締めることにしましょう。

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