S1-Ep12:接着剤

タイトルの接着剤(原題「Glued」)とは、被害者の少年ティムが、ラトレルたちに命じられてマーフィーの店から万引きしてきた商品。ラトレルたち不良少年たちは、これをシンナーの代わりに嗅いでトリップをキメてたんですね。ティムは自分のノート代にすら足りない1ドルしか持ち合わせていなかったために、万引きをするしかなく、その結果、命を落としてしまうことになります。

第5話の「ランナー」に続いて人種差別に根差す事件ですが「ランナー」の時は1973年の頃の話。今回の事件は、1980年1月が舞台です。僕が小中学生だった時代に、アメリカではまだこんな形で白人と黒人の間に偏見の溝が存在していたんだと思うと、複雑な心境です。

日頃の素行が災いして、あらぬ嫌疑をかけられたラトレルは、ジュリアス・スミスと名を変えてみたものの、結局社会に適合できずにどん底の生活を送るしかなく、一方、短絡的な行動の結果、ラトレルを陥れる形になった商店主のマーフィーは、20数年の後、成功を収めて不動産会社社長になっていました。ボスのスティルマンが「暴動寸前だった」と語っていたように、あるいは教会の神父が総スカンを喰らったように、黒人にとってアメリカはまだまだ生き難い世界なのでしょう。

それ以上に今回、目を覆わんばかりの悲劇は、ティムの両親にあった気がします。3人の子どもを抱えての暮らしに疲弊した母・ニコール。その彼女を思いやる夫・グレッグ。3人兄妹の長男として十分んな愛情を注いでもらえなかったティムの寂しさや、事件以来、罪の意識に苛まれ続けてきたバーンズ夫妻の哀しさは、どこか不条理ささえ感じてしまいました。

そのバーンズ夫妻を演じたマイケル・マグレイディ、チェルシー・フィールドは、共にちょいちょいドラマにゲストで出てくる方ですね。

原題「Glued」〔初回放送日:2004年1月18日〕


1980 in MUSIC

80年代となると、僕もリアルタイムで聴き覚えのある曲が出てきそうです。まずは15年前に「ロックの殿堂」入りした"70年代で最も完成された作詞家"こと、ジャクソン・ブラウンの「Running On Empty」。たしか、映画『フォレスト・ガンプ』の中でも取り上げられたナンバーですね。彼の5枚目のアルバムで初のライブアルバムでもある『Running on Empty』のタイトル曲ですね。実際のリリースはドラマの時代よりも前の1977年ですが、シングルカットされたこの曲はシングルチャートで1位を獲得し、アルバムは700万枚を売り上げて全米3位を記録。彼のキャリアにおいての最大ヒットとなったようです。アルバムは翌年のグラミー賞<Album of the Year>にもノミネートされたようですが、なんと今年、40年以上の時を経て2019年7月にリマスター版が発売されています。

2曲目はイギリスのロックグループ、スーパー・トランプが1979年にリリースした「The Logical Song」。6 枚目のアルバム『Breakfast in America』のリードシングルとしてリリースされた、彼らの最大のヒット曲。イギリスでは7 位、アメリカではビルボードチャートの6位まで昇りつめ、カナダでもプラチナ認定される売り上げを誇ったようです。ポール・マッカートニーがこの年のお気に入りナンバーに選んだこの曲は、ボーカルとベースを担当しているロジャー・ホジソンの10年間に及ぶ寄宿学校での体験をベースとしているそうです。

But then they send me away to teach me 
how to be sensible, logical, responsible, practical. 
And they showed me a world 
where I could be so dependable, clinical, intellectual, cynical.

という部分とか、子どもから大人になるための葛藤というか、尾崎豊的なものを感じますね(笑) ジャクソン・ブラウンの曲にしても、なんだか個人的にはシンパシー感じる歌詞が多いです。

それにしてもイントロからの出だしの部分、凄く好きです。

3曲目は、ポール・サイモンの「Slip Slidin' Away」。もともと1975年のソロアルバムに収録をする予定だったものをコンピレーションアルバムの一曲として発表し、その後、1977年10月にシングルリリースしたという経緯があるそうですね。リリース後、ビルボードポップシングルチャートで5位を獲得しています。 日本語訳としては「そっと出ていく」といった感じの意味になるのかな。

歌詞の後半にこんな一説があります。

God only knows(神様だけが知っている)   
God makes his plan(すべては神の意志のままに)   
The information's unavailable(お告げなんかいらない)   
To the mortal man(死ぬ運命にある者には)

なんか劇中で両親に気にかけてもらえないままノートを買いに出て行くティムの姿や、疲弊しきって雪の降る中、玄関先に彷徨い出て神に祈るニコールの姿が思い浮かんできますね。

そしてエンディングはイギリスのプログレロック、ジェネシスの「Follow you, follow me」。こちらは1978年の2月に彼らの9番目のアルバム『... And Then There Were Three ...』から最初にシングルカットされたナンバー。英シングルチャートで7 位、米ビルボードホット100では23位、アダルトコンテンポラリーチャートで21位を獲得し、ジェネシス随一のヒットシングルになりました。

Stay with me My love I hope you'll always be 
Right here by my side if ever I needed you Oh my love

の歌詞が、エンディングに出てくる肩を寄せ合うバーンズ夫妻や、ようやく母の元に戻ることができたラトレルを母親が抱き寄せるシーンにオーバーラップしますね。失われた命や時間は取り戻せないですが、事件解決を機に進んだ一歩は、それぞれの家族にとって大きな一歩になるのでしょう。

それにしても1980年の曲が一個もないじゃないか(;´Д`A ```


1980 in JAPAN(昭和55年)

ポール・マッカートニーが大麻所持で成田空港で御用になる1月に始まり、ジョン・レノンが自宅前で銃殺されてしまう12月で幕を閉じた1年間。日本では何が起こっていたのでしょう。僕はこの時、11歳。もうすぐ中学校、そんな時代ですね。

山口百恵が三浦友和との婚約を発表し、松田聖子がデビューした年なんですな。80年代アイドル戦国時代の始まり。松岩崎良美、河合奈保子、三原順子、柏原よしえなんかもそうだし、たのきんトリオもこの年にデビューなんですな。しかしよりによってなんで一番最初がトシちゃんだったんだろう?(「哀愁でいと」が6月、マッチの「スニーカーぶる〜す」は12月。よっちゃんは・・・えーと)

個人的な趣味でいくと、『ウルトラマン80』『電子戦隊デンジマン』『仮面ライダースーパー1』といった特撮がなかなか元気な時代だったんですよね。アニメも『宇宙大帝ゴッドシグマ』『ムーの白鯨』『燃えろアーサー 白馬の王子』『伝説巨神イデオン』とか、リアルタイムでガッツリ見ていた時代ですね(笑) TVが子どもたちの宝箱だった時代。『THE MANZAI』がスタートしたり『笑ってる場合ですよ!』がスタートしたり、お笑いも盛り上がりつつありましたね。

音楽方面ではオリコンの上位トップ10を見てみると、1位「ダンシング・オールナイト」、2位「異邦人」、3位「大都会」、4位「ランナウェイ」、5位「順子/涙のセレナーデ」、6位「贈る言葉」、7位「おまえとふたり」、8位「別れても好きな人」、9位「さよなら」、そして10位が「哀愁でいと」となっております。もうベタベタなド直球曲ばっかり。今も歌えますね(笑) ベストテンとかめっちゃ見てたんじゃなかろうか。いい時代だったなあ。

WALKMANやゲーム&ウオッチ、ルービック・キューブなんかが大流行してたみたい。いっとき狂ったように集めていたチョロQが発売開始になったのもこの年なんだとか(一時期2,000台近く集めていた気がします・・・栄枯盛衰。今は数台が手元に残りのみ)

この年の一曲は、やはりデビューを飾った佐野元春御大のコレでしょう。

ホントはB面の「さよならベイブ」にしたかったけど、本人動画がなかった。


今回はリリーが家で飼っている2匹の猫が。オリビアは茶寅の隻眼ニャンコ。もう一匹は名前分からず仕舞いですが白い三本足のニャンコ。あえてこういう猫ちゃんたちを引き取って育てているリリー。初めて招き入れたカイトは、その猫たちに引き気味で、リリーの気分を害してしまいます。いいぞー!(笑) 今回は、リリーの母親に対する想いもチラリと垣間見えたりしたし、スティルマンのプライベートもちらほら。

でも一番和まされたのは、3人のノー・ドラッグ・デーのシーン。何度見ても、こっちまでニヤニヤしてしまいます。

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