9時間目:西部劇の時代

タツノコの名作、タイムボカンシリーズ第1作『タイムボカン』を振り返りつつ、無理矢理お勉強に繋げてしまおうというこの企画。今回の舞台は西部開拓時代のアメリカ。比較的、新しい時代へのタイムトリップですが、実際の時間軸とはズレてることが分かってなかなか面白い。


【本編の超あらすじ】第9話『西部の大決闘だペッチャ』 

映画撮影現場でガンマンたちの決闘シーンを見たペラ助の一言で、一行は1860年代のアメリカへ。丹平たちが到着した西部のとある町は、住民たちが乱暴者のゴロンボ兄弟によって、平和な日々を脅かされていた。市長の息子ジムが、旅先で出会った老人から貴重なもの預かって帰るという話を聴き、丹平たちはそれが木江田博士とダイナモンドではないかとにらみ、市長に頼まれるまま町の護衛を引き受ける。一方、同じ情報をゴロンボ兄弟から得たマージョたちは市長を誘拐し、ジムの持って帰る品物と交換せよと迫る。丹平たちはマージョたちを蹴散らし、市長を取り戻すが、結局、品物の正体は油田の在り処を示す地図で、ダイナモンドではなかった。


■年老いたワイアット・アープ

丹平たちが酒場で出逢ったのは、立ったまま気絶していた保安官、ワイアット・アープ。ビジュアル的にはどう見ても50代くらいのオッサンなんですけれども、実際にアープが生まれたのは1848年3月とされております。だとしたら、この時代が1860年代の後半だとしても、アープはまだ20歳そこそこのはずなので、このビジュアルはちょっと可哀想・・・。

ちなみにアープがカンザス州ウィチタの保安官事務所で働き出したのが1875年なので、1860年代にはまだ彼は保安官にはなっておらず、バッファロー狩りで生計を立てるただのガンマンだった模様。


■OK牧場の決闘の真実

さてアープといえば"OK牧場の決闘"が代表的なエピソード。今回のお話の中にも市長引き渡しの場所として登場します。モノの本によれば、この言葉、1957年の西部劇映画『Gunfight at the O.K. Corral』の日本公開時の邦題『OK牧場の決斗』が、その始まりだそうです。

英語の原題は、直訳すると"OKコラルの銃撃戦"すなわち、OKという名前の家畜の囲いでの銃撃戦というわけで、牧場での決闘じゃないんですって(相手を武装解除するだけのつもりで出かけたところ、期せずして撃ち合いになっただけらしい。時間にして約30秒、使われた銃弾たったの30発だそうです)。いやはや歴史って尾ひれ付くとエラいド派手になっちゃうもんですね。

ちなみに1881年10月26日の水曜日の午後というのも具体的に判明しているんですね。なので1860年代にOKコラルがあったかどうかは微妙ですな。

この出来事を元にした映画も数多くありますが、メジャーなもののひとつで、1946年にジョン・フォードによって製作された『荒野の決闘(原題:My Darling Clementine いとしのクレメンタイン)』 をちょっと見てみました。主演のヘンリー・フォンダ、言われないと分からないくらい若い! そしてクレメンタイン役のキャシー・ダウンズが超絶美人さん。

Amazon Prime会員の方は無料視聴できるので是非。1時間ほどの映画なのでサクッと見れますよ。めちゃくちゃ映像暗いですけど(自然光でオープンセットにこだわってらしいので、コントラストの激しさがハンパないですw)


■アメリカの油田開発の歴史

最後に市長の息子ジムが持ち帰った油田の地図に関して、当時のアメリカの油田ってどうだったのだろうと思い調べてみました。

アメリカで最初に近代的な油田採掘がスタートしたのは1859年。ペンシルベニア州タイタスビルのオイル・クリーク川のそばで鉄道員のエドウィン・ドレークが発見した油田で、その名にちなんでドレーク油田と呼ばれているそうです。今はドレーク油田博物館が建てられておるようです。今回の舞台となった時代のちょっと前ということですね。これを受けてペンシルベニアでは1861年にオイルラッシュが起きたそうです。まさにジムが持ち帰った地図は宝の地図なわけですな。(図中のトゥームストンは"OK牧場の決闘"の舞台となった町です)

その後、1901年にテキサス州ボーモント市の南で採掘に成功したのがスピンドルトップ。ここのルカス油井から40m以上もの原油が噴き上がった1月10日が、現代石油産業誕生の日とされているようです。1日10万バレルと言われる大量の石油を目当てにやってきた人たちで、ボーモントの人口は3カ月で1万人から3万人に!(その後5万人に) その結果、ボーモントはアメリカで最初の"石油燃料による新興都市"となったんですね。エクソンモービルやテキサコといった企業がここで大成した模様。その後、油が採りつくされると衰退し、1966年には合衆国の国定登録史跡になってしまいました。

そしてアメリカ国内(アラスカ、メキシコ湾を除く)で最大規模といわれるのが、1930年に発見された東テキサス油田。最盛期には"ブラック・ジャイアント"と呼ばれるほど膨大な埋蔵量を誇っておったようです。発見後、3万340本の油井が掘削されて52億バレルの原油を産出。当時としては桁外れ。このおかげで世界の原油価格が暴落。中小原油業者が壊滅し、今の石油業界の図式に繋がるそうです。

意外とトゥームストンのあったアリゾナ州とかには油田無いんですね。

ちなみこの1850~60年代当時、テキサスの人は地下に石油があることを昔から知っていたものの、水を確保するための井戸を作る際には邪魔で、歓迎されざるものだったんですってよ。後に石油事業家になるW・T・ワゴナーは、まだ牧場主だった1902年当時、井戸を掘っていたら石油を掘り当ててしまい「水がほしかったのに石油が出てしまった! クレイジーだ! 自分たちと牛が飲む水が必要だってのに!」と言って憤慨したんだそうです(笑)


■今週のメカ

三悪今週のメカは西部劇でお馴染みのバッファローがモチーフ。なかなかイケメンです。火を噴いたりミサイル飛ばしたりはないんですが、4つに分離して突撃してくるという、バッファローっぽい仕様(笑) メカブトンもさすがに苦戦しておりました。

これ正しくはアメリカバイソンと言うんだそうです。ネイティブ・アメリカンたちにとって伝統的な狩猟の対象で、彼らにとっては衣食住全てに欠かせない生き物でしたが、17世紀に白人が移入してくると、彼らの食用や皮革用に狩猟されたり、農業や牧畜を営む上での害獣として駆除されるようになってしまいます。結果、白人が移入する前は約6000万頭いたアメリカバイソンは、1890年には1000頭を切るまでに激減したんだとか・・・恐るべし白人たち(;´・ω・) 

現在は保護区も作られて、なんとかその数を増やしておるようです。2016年にはアメリカの「国獣(National Mammal)」にも指定されたようですが、なんか複雑な気持ちになりますな・・・。


書き溜めていたネタが、このところの多忙と風邪でのダウンで枯渇してしまった(;'∀')

既にF1記事とか、ロシアGPあたりから破綻してますが(笑) さて、困った困った。

12月中旬頃まで土日も休みがないぞ!

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