7限目:ティムール帝国期とアリババ。

タツノコの名作、タイムボカンシリーズを振り返りつつ、無理矢理お勉強に繋げてしまおうというこの企画。今回は15世紀のバグダードが舞台。まったく興味関心の無いイスラム世界のお話なので「なんちゅー難易度高いお題やねん!」と憤りつつ、その時代のバグダードの様子と、登場人物の元ネタになっているアリババの話をいじってお茶を濁します。全然歴史の時間じゃないけど!


【本編の超あらすじ】第7話『合図はひらけゴマだペッチャ』 

ペラ助の「バグダッド料理を食べた気がする」という曖昧な記憶を頼りに、丹平たちは15世紀のバグダッドへ。そこで一行は、部下の裏切りにあった盗賊団の首領・ハッサンをひょんなことから救い出す。ハッサンと話をしてみると、彼はダイナモンドらしき宝物のありかを知っている様子。それを教えてもらう条件で、丹平たちはハッサンを裏切った部下・アリジジを倒す約束をした。一方、アリジジに取り入ったマージョたちも、宝物のありかを示すという壺を狙って暗躍。丹平たちからまんまと壺を奪い取り、財宝が隠された洞窟を開く呪文を手に入れるが、先回りした丹平たちによって本当の洞窟が分からなくなってしまった。結局、メカ戦に敗れたマージョたちは退散。ハッサンの部下たちも戻り、本当の洞窟を開けてみると、そこにあったのは眩く光り輝くコーランの山であった。


■15世紀のバグダード

目まぐるしく変わるイスラム世界の支配権にクラクラしながら、ネットでいろいろ調べてみましたが、15世紀のバグダードでとりわけ目を引く出来事が見つからず・・・。

強いて言うならば、この時期のバグダードは"ティムール帝国"が治めている時代のようです(1370~1507年)。モンゴル帝国を創ったチンギス・ハーンの次男、チャガタイが興したチャガタイ=ハン国に仕えていた豪族、ティムールによって建国されたイスラム王朝で、中央アジアの広大な地域を領土にしていたようです。その領地の西の端にバグダードはありました。

この頃のバグダードは位置的な背景もあって、幾たびも侵略を受けていたようで、15世紀の半ば頃にはティムールの略奪によって廃墟同然の町だったらしいです。なので、タイミングによっては丹平たちが訪れたような、美しい町並みは無かったかもしれませんね。

ただ、15世紀初頭から半ばまで、国を治めたウルグ・ベクの時代には、明との交易が復活したり、農業の発展などが成し遂げられて、首都・サマルカンドには大天文台が作られたり、ミニアチュールと言われる細密画などが盛んに描かれたり、ペルシア文学、トルコ文学などのカルチャーが非常に繁栄を遂げた時代だったみたいですね。絢爛豪華?

▲ミニアチュールって知らなかったので調べてみました。あちこちから拝借した画像ですが、こういう緻密な絵を額装して楽しむというもののようです。一番右はインドあたりのものかも。その隣はなんかチャイナっぽいですけど・・・。


■アリババの話、知ってる?

今回の登場人物にアリジジという、あからさまなパロ・ネーミングな方がおられまして、もともと自分の頭領だったハッサンを裏切ったあくどい男なんですが・・・。

ほら、いかにも悪そうでしょ(笑) で、コイツの元ネタは明らかに『アリババと40人の盗賊』なんですけど、もともと主人公・アリババはいい人だったはずなんだけど、と思いながらも、なんせ小さい頃に絵本で読んだかもしれない・・・という程度の記憶しかないので、改めてストーリーを調べてみると色んな再発見があって驚きました(笑)

まずこの話、『アラビアンナイト(千夜一夜物語)』の中のお話だと認識してたんですが、実は『アラビアンナイト』の原本には収録されてなかったんですって!ww 知らなった! 18世紀の初め頃、フランスの学者でこの本の翻訳を進めていたアントワーヌ・ガランが、当時フランスに居たシリア北部出身のハンナ・ディヤーブという人物から聞き取って、翻訳本に加えたんだそうな。で、原典探しが随分行われたようですが、結局今のところ確かな結論は出ていない模様。

お話そのものはWikiによると・・・貧乏だったアリババがひょんなことから盗賊が財宝を隠す洞窟を見つけて、例の「開けゴマ!」の呪文を使って盗品を持ち帰ります。裕福になった弟を訝しんだ金持ちの兄・カシムはアリババから洞窟の場所と呪文を強引に聴き出して洞窟に向かいますが、そこで盗賊に見つかって殺されてしまいます。アリババは帰らぬ兄を探しに洞窟に向かい、兄のバラバラ死体を見つけ、ほっときゃいいのに持ち帰り丁寧に埋葬してあげます。その行動からアリババの所在を突き止めた盗賊たちが、あの手この手でアリババの命を狙いますが、毎度毎度、女奴隷のモルジアナによって策略を見抜かれてしまい、39人の部下を失うばかりか最後は頭領自身もアリババ暗殺に失敗。アリババはモルジアナを奴隷から解放し、彼女はカシムの息子の妻に。洞窟に残っていた財宝は国中の貧しい人たちに分け与えられ、アリババ一族は末永く栄えた・・・という感じです。

改めて知ると「モルジアナすげー!」と思いました(笑) アリババより活躍してる。

面白かったのは「開けゴマ!」のうんちくで、これ日本用に改変したわけではなく、もともとガランの本でも「Sésame, ouvre-toi(ゴマよ、汝を開け)!」となってるんですね。なぜゴマなのかは諸説あって断定できていないそうですが、ゴマに向かって唱えてる感じですよね。ゴマが洞窟の扉を開いてくれるのか、ゴマ自身がぱかっ!と開いちゃうのか・・・。良く分かりません。わからないけど、面白い(笑)

▲これも見た! ちょっとWikiに書いてある展開とは違ってました。モルジアナ出てこない! モルジアナの役は、カシムの妻になってますな。


■今週のメカ

グロッキー自画自賛のカッコイイ悪メカ。初の鳥型タイプでございます。口からは火炎放射を吐いてメカブトンを追い詰め、羽を飛ばしてタイヤをパンクさせ(パンクするのか!と驚きましたが)てしまいます。トドメの武器はタマゴ型のカプセルに詰めた爆弾。これが怪鳥メカのお尻からムニュっと出てくるんですが、まあ、なんともえげつない(笑) しかし、その爆弾もたまたまエンジン噴射したメカブトンのせいで怪鳥メカの体内に戻って爆発してしまうという、お約束のエンディング。



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