2時間目:イッソスの戦い

タツノコの名作、タイムボカンシリーズを振り返りつつ、無理矢理お勉強に繋げてしまおうという目論見であります(笑) 思い付き過ぎて、まだ記事のフォーマットが定まってませんが・・・。


【本編の超あらすじ】第2話『ギリシアのズッコケ戦争だペッチャ』 

自分の時代に帰りたくないペラ助は、適当なことばかり口にしている。しかし、他に手がかりのない丹平たちは「槍やら弓やら剣やらで戦争している時代」というペラ助の言葉を頼りに、紀元前330年頃の地中海にやって来た。丹平が偵察に出かけている間に、アレキサンダー大王のペルシャ遠征部隊と遭遇した淳子たちは囚われの身に。ペラ助は隙を見て逃げ出すが、ペルシャ軍のダルイダス大王に捕まってします。焼き鳥にされる寸前、マージョたちが現れ、ペラ助と引き換えにペルシャ軍の助っ人を申し出る。その情報を聴いた淳子たちは、アレキサンダー大王の軍勢に加わり、マージョたちとの対決に向かう。三悪のメカ戦車に苦しむ淳子たちだったが、テントウキで現れた丹平によって形勢逆転。自由の身になったペラ助はこっそりタイムボカンで別の時代へ逃げようと試みるが、辿り着いたのはいつもの研究所だった。


■舞台はあの"イスカンダル"だった!

こういう時代の話を世界史でどれくらい教えられたのか、もはやさっぱり思い出せませんが、今回のゲストキャラは、かのアレキサンダー大王。"かの"と言いながら、どんなことを成し遂げた人なのかも覚えてません(笑) アレキサンダーなのか、アレクサンダーなのかも分からん。

淳子ちゃんの「地中海沿岸でペルシャへ攻撃をかける」という話通りだとすれば、物語の舞台は紀元前333年のイッソスかと思われます。イッソスは地中海沿岸の地域で、現在のトルコ・イスケンデルンという街のあたりと言われているようです。

▲ちなみに地図の中央上部のあたりがマケドニア王国のあったあたり。


イスケンデルンの名は、アレキサンダーのトルコ語読み"イスカンダル(ー)"から来ているようです。それ以前には"アレクサンドリア・ニア・イッサス"とか"アレクサンドレッタ"と呼ばれる時代もあったそうなので、アレキサンダーの町ということなんでしょう。"イスカンダル"と聞くと日本人のオッサンなら、いやがおうにも思い出す我らが宇宙戦艦ヤマトの最初の航海の目的地。調べてみると、実際に当時同作のSF考証設定を務めた豊田有恒さんは「アレキサンダー大王の別名から名づけた」とおっしゃってますね。最近ではどこぞの国のミサイルの名前で良く耳にしますが・・・。

▲奥に見えるのがイッソス湾っぽいですな。<ヤン・ブリューゲル作「イッソスの戦い」(1602年:ルーブル美術館所蔵)> ※Wikiより転載


■太く短いアレキサンダーの生き様

さて、よう分からんアレキサンダー大王ことアレクサンドロス3世(・・・長いので"アレク"と略することにします!)についておさらいです。紀元前356年生まれというから、イッソスの戦いの時には23歳ということになりますね。

親父のフィリッポス2世はギリシアを征服し、バルカン半島最強の国にした男ですが、東征の志半ばに暗殺により命を落とします。アレクはその意思を継いで、紀元前334年、東征へ出発。まずは長年ギリシアを苦しめてきたペルシア帝国を蹴散らしていきます。いくつかの戦いを経てイッソスでアレクは初めてペルシアの王・ダレイオス3世と相まみえ勝利を収めるんですね。

(▲劇中でのアレキサンダー大王とダレイオス大王。何故かダレイオス大王だけ微妙に名前を変えてありますが、なんか理由があるんでしょうか? それにしても酷いデフォルメw)


劇中では丹平やマージョの乱入で訳が分からんことになってますが、史実によればダレイオスは武器や王衣、家族まで置き去りにして逃亡したようです。焼き鳥どころじゃない(笑) アレクはダレイオスの家族はもちろん、捕虜にしたペルシャの人々を短絡的に殺したりしませんでした。逆に自分の周りにペルシア人の側近を増やし過ぎて、マケドニアの貴族たちからブーイングを受けるほどだったとか。そのいざこざがもとで親友で乳兄弟のクレイトスまで手にかけてしまい、相当ヘコんだことも伝えられています。意外とキレやすいところもあったようで・・・・。

その後、ダレイオスを追い続け倒した後(といっても厳密にはダレイオスは側近に暗殺されたようですね。アレクはダレイオスを丁重に弔い、その側近を仕留めたのだとか。その辺もなんかドラマティックですな・・・)、東征を続けた彼は紀元前324年にはインドまでを手中に収めます。その間わずか10年! ギリシアからインドまで、一度も故郷に帰ることなく、なんならインドで嫁までもらってますから(笑) 恐るべし精力であります。

アレクが築いた帝国は、ギリシアから小アジア、エジプト、シリア・メソポタミア・イラン・バクトリア・ソグディアナ・インダス川流域の広大な範囲です。その結果、ギリシア文化とオリエント文化が融合して、ヘレニズム文化が生まれたわけですね。ダイナミックな生き様です。

インドでオリエンタル文化にハマりつつあったり、兵たちからの「もう勘弁してください!」の声もあったりしたので、翌年にバビロンに戻るものの、すぐにアラビア遠征計画を立てていたアレクですが、蜂に刺されたことが原因で、とある宴の最中に倒れ、結局そのまま病死してしまいます。享年32歳。なんと激烈な人生でありましょう。32歳の頃なんて・・・のほほーんと生きてましたわ・・・(;´Д`)


■こんな人生だから逸話も多い

数々の伝説の中でも個人的に知っているのが、ゴルディオンハンマー・・・じゃなくて<ゴルディオンの結び目>の伝説です。

紀元前333年、ゴルディオン(現在でいうトルコの首都・アンカラから南西へ70km行ったあたり)に到着したアレクは、町の城塞で古の王が奉納したという荷車を見つけます。その荷車の轅(ながえ)は特殊な縄で強固に結わえつけられており、「この結び目を解くものがアジアの覇王となる」という言い伝えがあることを知ったアルクは、これを剣で一刀両断にして「解いた!」と言ったという逸話です。現在でも発想転換の例え話にもされたりしますね。一刀両断以外にも諸説あるようですが、個人的には解けぬならバッサリ!という大胆さが好きです。

この話、僕に教えてくれたのは、菊地秀行先生でございまして(笑) 菊地センセが1985年からリリースした『魔戦記』シリーズがそれなんですが、角鹿荒人(つぬがあらと)というサラリーマンがアレキサンダー大王の転生として覚醒するお話。角鹿という名前も「2本の角が有った」というアレクの伝承から来てたりします。なかなか独特な設定で面白かったんですが、3冊まで発行されて、それ以降は続編出ていないような・・・。打ち切りっぽいようですが、また断捨離読書で再読してみようかな。

なんにしましても、昔はスゴい人がいたもんです。日本だって戦国の武将とかWWⅡの軍人さんとか、若くして功を成した人は多いですもんねー。さすがに紀元前の話になると、どこまで真実か脚色かも分かりませんが、かのように熱く太く短い人生を生きた人物の物語は、歳を取れば取るほどに魂に染み渡りますね・・・ホント、若い頃はこういう話に全く興味関心を持てなかった自分が残念です(;´Д`) もう一度、人生やり直したい。

・・・・でもまたきっと、タイムボカン見て、ゲラゲラ笑って終わっちゃうんだろうな(笑)


■今週のメカ

今回は新たなメカは三悪の一体のみでしたが、TOP画にあげた"空飛ぶ兵器"はなかなか独創的で面白いなあと思いました。ガレー船みたいに人が漕いで空を飛ぶ仕組みになってますが、あんなのが実際にアレキサンダー大王の部隊にいたら世の中変わってただろうなあ・・・。まあ、物理的にあり得ないけども。

メカ戦車のほうも、時代背景を考慮して、なんだか木製でも作れそうなデザインになってたりしますな。槍を構えている風で、そこが大砲になっているというのも素敵。


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