いやー・・・興奮し過ぎてしまい、ようやく記事を書く心の余裕ができました。F1第9戦、オーストリアGPの話でございます。F1ウオッチャーなら既に知っているでしょうし、なんならHONDAのホームページTOPにもこんな感じで出ていますが、
そうなんです。HONDAを積んだレッド・ブルが初優勝を飾りました。俗に"第4期"と言われる、エンジンサプライヤーとしてF1参戦してからだと上の画像にあるように4年目にして、ということになりますが、2006年の第13戦ハンガリーGPの優勝から数えると13年振りの表彰台真ん中であります。そう考えると、優勝インタビューはバトンにして欲しかったなあ(笑)
■熱波がレッドブルに味方した
思えば、レースの雌雄を決したのは、標高の高さにも関わらず路面温度50度を超えたサーキットのコンディションだったように思います。ヨーロッパを襲う熱波がレッドブルに味方しましたね(パリで気温45度とか、信じられない状況でしたから)。
▲普段は雨天の時に使うテントが、決勝直前のグリッドに引っ張りだされるくらいの強烈な日差し。
この暑さのために、本来のポテンシャルを発揮できなかったメルセデス勢。気温があと少し低ければ、彼らはあっという間に1-2を独占していたかもしれません。この先、暑いサーキットがいくつか待ち受けていますが、メルセデスどう対処していくのか見ものです。
■スタートミスからの疾風怒涛
予選でのハミルトンのペナルティによって、フェルスタッペンがフロントロウに決まった時に「すわ!」とは思いましたが、決勝はその時想像もしなかったドラマティックな展開になりました。
痛恨のアンチストールで1コーナーまでの間に6台に抜かれてしまったフェルスタッペン。かなり衝撃でした。まあ、本人が一番ショックだったでしょうけど。それでも冷静に1コーナー対処して、自分のペースを取り戻していくあたり、さすがのフェルスタッペン。とても21歳には思えません。
あれよあれよと先行をパスしていく様は気持ちよかったですね。抜かれる方もフェアな感じでしたし、なによりパワーの差をライバルたちも認めていた気がします。
▲メルセデスをストレートでパス。事情はどうあれ気持ちいい!
■熱く、しかし冷静に
今回、フェルスタッペンとチームの動きを見ていて感じたのは"クールに熱く攻めた"ことですね。まずはタイヤチョイスと交換のタイミングでした。ルクレールの様子を見ながら、出来る限りミディアムを保せつつ、チームは確実なタイミングでハードにスイッチ。
フェルスタッペンも、無理なドライビングを抑えつつ、オーバーテイクは確実なチャンスで一気に決めていました。とある情報によれば、他のドライバーとは違うライン取りで、クーリングにまで配慮していたのではないかとの考察もあり、そうだとすればフェルスタッペン恐ろしいほどの成熟っぷりです。あれだけアグレッシブに攻めながら、頭はクール。ヤバいです。山本MDが「彼は人生をいっぺん経験してきたんじゃないかな」と言うのも頷けます(笑)
▼ルクレールへの最初の攻撃。この時も無駄のない動きでした。
■激熱のモード11
55周目、フェルスタッペンが「パワーがなくなってきてる!」と無線で叫んでから、ドラマは劇的にヒートアップしました。メルセデス同様、レッドブルのマシンも暑さによってエンジンパワーを抑える方向で制御が働いたようですが、彼の声に応えて、チームが出した指示は「エンジンモード11、ポジション5」。エンジンダメージを無視した予選仕様のマップによって、マシンは一気にパワーアップ。ここは絶対に獲りにいく!と事前にレッドブル陣営とホンダの間で決めていたそうで、見事な英断でございました。
そこからはもう画面から目が離せず。DRSを上手く使いながら、じわじわとルクレールを追い立てたフェルスタッペンが、ついに69周目にターン3でインに飛び込み、ホイールをぶつけ合いながらクリア!(▼) 激熱でした! これぞレース! これぞF1!
▼ウイニングランで右人差し指を突き上げるフェルスタッペン
▼最高潮に盛り上がるオレンジのフェルスタッペン軍団! 声援も過去最高でした!
▼フェルスタッペン、吠える!
■感無量の表彰台
▼表彰台に現れたフェルスタッペンが、誇らしげにホンダのマークを指で示してくれました。
▼そしてF1では異例の、技術スタッフとして田辺TDがコンストラクターズのトロフィーを!
田辺TDを表彰台に上げよう、という話はレースの前から決まっていたようです(本人には知らされてなかったようですが(笑))。こういうとこ好きです。レッドブルにしてみればホームなわけで、そこでの初優勝でクリスチャン・ホーナー代表かマルコの爺さんあたりが出てくるのがセオリーなのに、田辺TDを「いいねー!」と言ってくれるチーム。ホンダとの関係性をうかがわせるじゃないですか。
▲山本MD大喜び。マルコの爺さんもニッコリ。
▼そして表彰台には"オーストリアン・マフィア"(笑)のベルガーも居て、男同士のハグ! あの時代を生きたオッサンとしては胸に迫るハグでした。
田辺さんとフェルスタッペンの絡みもね、良かった。シャンパンを掛け合う姿は、まだまだレッドブルこれからだぜ! と思わせてくれましたね。とにかく、今日の表彰台は素敵な笑顔で溢れてました。・・・ルクレール以外は(;´Д`A ```(▼)
■フェルスタッペン、ランキング3位に!
と、この時点では例のターン3のせめぎあいが審議中ということもあって、気になって仕方が無かったわけですが、結果はお咎め無しということで、ホッとしましたね。フェラーリ陣営は裁定にご不満の様子で(まあ、そりゃそうだ)、とりわけルクレールはまたしてもF1初優勝を逃がしてしまったので猶更だったと思います。
ポイント的には圧倒的なメルセデス優位ではあるものの、ドライバーズもコンストラクターズもまだまだ2位争いは苛烈なわけで。
というわけで、レース順位と他ドライバーのおさらい。
こうやって見ると、フェルスタッペンとルクレールの差は僅か2.7秒。改めて凄いバトルやったなと思わずにいられません。
ヴェッテルはマシントラブルからの予選9番グリッド9から、手堅くメルセデスの間に割って入りましたね。ここまでが僅か5台が同周回での争い。ノリス、サインツも堅実に上位へ。サインツはいっとき、13グリッドアップしてましたから! マクラーレン、本当に復活してきましたよね。
一方のマクラーレンに挟まれたガスリー。相方にも周回遅れにされてしまう形になって、厳しい視線にさらされてます。一発の早さとタイヤに優しいテクを持っている彼なので、あとはフェルスタッペンのような闘争心とチャレンジ精神発揮できると違う気がするんだけどなあ。
初ポイントゲットのジョビナッツィはおめでとう! ライコネンと二人でチームにも貢献。ジョビナッツィは予選からの雰囲気見てると、調子に乗らなきゃまだまだいけそうです。
さて気になる中団以降ですが、ハースが低迷してますね。フェラーリエンジン積んでるのだけど、どうして。マシンのコンポーネントに問題あるのかなあ。
そしてPUアップデートしたはずのルノーもマクラーレンに上を行かれています。トロロッソのほうもちょっと沈降気味。アルボンとかエンジン5基目なんですけどね・・・・。ハースもしかり、エンジンが良くても・・・ということなのか。
次戦は名門シルバーストーン。緯度もあがってそれほど気温も高くないでしょうし、フラットな高速サーキット。今回のような奇跡が起きるかどうかは定かでないですが、ルクレールあたりがハミルトンの母国で優勝かっさらってくれると面白いんだけどなあ!
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