FILE01-02:蝙蝠男

【ゲストプロフィール】 蝙蝠男(ショッカー所属コウモリ型改造人間)
出身:アマゾン河流域奥地 身長:205cm 体重:115kg 
別名”人間蝙蝠”。吸血蝙蝠の能力を移植された改造人間。ショッカー科学陣が新開発したビィールスの人体実験と、これを使った全人類の支配化がミッション。ライダー投げによって高空から地面に叩きつけられ敗北。 

―『悪役たちの哀歌』第2回はお察しの通り、元祖『仮面ライダー』第2話に初登場された蝙蝠男さんにお越しいただいています。よろしくお願いします! 

蝙蝠男(以下、蝙)「キッヒャッヒャヒャ」 

―申し訳ないんですが、すみっこでぶらさがってないで、こちらにお座りいただいて・・・ 

蝙「あれ? こういうのを求めてるんじゃないのか?」 

―いや、まったく。お話をお伺いするだけでなので、普通に座っててください。 

蝙「なんだよ、蜘蛛男のヘンなアドバイスを間に受けちまったじゃないか」 

―ああ・・・たぶん「コソコソしないほうがいい」とか言われたんですね。 

蝙「よくわかったな」 

―想定の範囲内です(笑) これもお聞きいただいてるかと思いますが、この『悪役たちの哀歌』はヒーローにやられちゃったヒールの皆さまから、敗戦の理由、勝機はあったのか、といった視点で戦いを振り返りつつ、後輩ヒールの皆様へのアドバイスをいただこうという企画なんですが 

蝙「おう。聞いてるぞ」 

―それは話が早い。では早速。蝙蝠男さんはライダー怪人史上初めて、人類征服ミッションを背負ってご登場されましたよね。 

蝙「そういうことになるな」 

―情報によれば、ショッカーの科学陣が開発した新種のウイルスを使って、人類を支配化に置くというミッションだったと聞いております。 

蝙「ウイルスじゃなくてヴィールスだ」 

―ああ、当時はそう言ってたみたいですね。最近はヴィールスではなくウイルスと呼ぶことのほうが一般的になったんですよ。 

蝙「そうなのか?」 

―ええ。まあ、ドイツ語読みかラテン語読みかの違いみたいですけどね。 

蝙「ヴィールスのほうが、なんか悪そうで俺好みだけどな」 

―じゃあ、そのヴィールスですけど、具体的にはどんな特性が? 

蝙「感染した人間を、外部からの刺激でコントロールすることが出来るヴィールスよ。キッヒャヒャ」 

―記録を見ると感染から発症までの速度がハンパないですね。 

蝙「アッという間だな。理由は俺もよく分からんが。理論上は1日もあれば日本中の人間を支配化に置くことができるらしいぞ」 

―それは素晴らしく効率の良い作戦ですね! 

蝙「ライダーの邪魔さえ入らなければな」 

―そこですね。なんで邪魔が入っちゃたんでしょう?

蝙「それはだな・・・」 

―実験場に選んだマンションの場所さえ見つからなければ、邪魔も入りませんでしたね。 

蝙「ぐっ・・・そうだな」 

―マンションが見つかった理由はなんでしたっけ? 

蝙「おまえもイヤな質問をサラっとしてくるな・・・」 

―仕事なもので。 

蝙「まあ、あれだ。俺があの女を本郷に差し向けなければ、もしかしたら見つからなかったかも・・・」 

―いや、確実に見つからなかったでしょ。しかもなんであんな非力なモデルさんとかを選んだんです? 

蝙「・・・そりゃお前・・・ベッピンだったからだよ」 

―身も蓋もないですね。 

蝙「男の性だよ」 

―蝙蝠男なだけにね。 

蝙「誰がうまいこと言えと」 

―レース場で仕留めそこなった時に『一石二鳥とまではいかなかったが、実験はおおむね成功したな』とか言ってる場合じゃなかったのでは? どう考えても足がつきますよ。せめて彼女をあの場に残すべきじゃなかったですね。 

蝙「うーん・・・俺、太陽の下苦手なんだよ。早くねぐらに帰りたくってさ」 

―まあ、蝙蝠の習性だから仕方がないですね。 

蝙「なーんかトゲあるよなあ、お前」 

―まあ、実験場がバレたこともついでに仕方ないとしまして、ノコノコとやってきたライダーを仕留めきれなかった原因についてはどうです? 

蝙「感染させた奴らがもうちょっと使えると思ったんだがなぁ・・・」 

―確かに、あのまま感染したマンションの住民たちにライダーを襲わせていれば、彼も攻撃を躊躇したでしょうけど、感染したとはいえ所詮、人間ですからね。 

蝙「言われてみれば、主婦とか爺さんとかだからな・・・警察署とかプロレス団体とかを実験場にすりゃよかったな」 

―それは妙案! まあでも結局、あなた自身がライダーに追い詰められちゃいました。 

蝙「咄嗟に自己催眠でスリープモードになっちまったよ」 

―それも本能なんですか? 

蝙「そうみたいだな」 

―その間にライダーに仕留められなくてよかったですね。 

蝙「まあ、俺をやっつけちゃうと感染者を救う術が分からなくなるからな」 

―危うく城南大学の研究室に連れ込まれて、いじくりまわされる寸前でしたけど、その窮地を救ってくれたのは皮肉なことにルリ子さんでしたね。 

蝙「そうそう。あの勘違い女のおかげだよ」 

―あの時、ルリ子さんのお父さん、緑川博士が殺された証拠を持っているとか言ってましたが、ホントなんですか? 

蝙「キヒャッ! 持ってるわけねえじゃねえか。殺したのは蜘蛛男なんだし」 

―ですよね。嘘つきですねー。 

蝙「バカ野郎! 確認ついでに言うけど、俺は悪役だぞ!」 

―あれ? でも”目覚めのトゲ”に血清が蓄えられてること正直に話したじゃないですか。 

蝙「そ、それは、首領が教えてやれと言ったからだろ・・・」 

―ああ、そうでしたね。

蝙「俺は黙って首領と本郷のやりとり聴いてたけど、教えるのは良くないぞって思ってたんだよ」 

―じゃあ、喋ったのは首領のせいだと? 

蝙「そ、そうとは言ってないぞ!」 

―もう時効ですよ。蜘蛛男さんみたいに正直に告白していいんですよ? 

蝙「いやいやいやいや、その手に乗るか! いつまた出番が来るかもわからんのに」 

―まだそんな淡い期待を? 

蝙「当たり前だ! 俺は天下のコウモリ型改造人間だぞ。ライダーの敵役としてニーズは高いはず」 

―確かにその後、TVでも映画でも復活してらっしゃいましたけど、さほど活躍は・・・ 

蝙「ほっとけ!」 

―なんにしても、目覚めのトゲの存在を喋らなければ、少なくともあの場面でライダーにやられることは無かったのでは? 

蝙「うーむ・・・・・・あああっ! 待て! 今、とても大事なことを思い出した!」 

―おお! なんでしょう? 

蝙「そもそも首領が血清のことを俺に喋らせたのは、本郷が『教えてくれたら再改造受ける』って言ったからじゃないか! アイツが一番の嘘つきじゃないか!」 

―ははは。確かに。『ショッカーのやることだ、もともと信用はしていない』って言ってましたしね。 

蝙「ヒーローのくせに人を騙すなんて、ほんとにサイテーの野郎だな」 

―いやいや、あなたがそれを言うのはどうかと。

蝙「まあ、本郷が大人しく再改造受けるとか、俺は思ってなかったけどな・・・」 

―・・・首領は思ってたと? 

蝙「知らねえよ。ノーコメント!」 

―意外と首領ってお人よしなのかもしれませんね。あるいはただ間抜けなだけなのか。 

蝙「・・・おまえと喋ってると、こっちの身が危ない気がする」 

―大丈夫ですよ。そんなキョドキョドしなくても。 

蝙「いや、首領は神出鬼没だからな」 

―じゃあ、名残惜しいですが、まとめるとしますか。結局のところ敗因はなんだと思います? 

蝙「こうやって振り返ってみると、あれだな、やはり実験場の選択ミスだろうな。本郷を襲わせた実験体にしてももっと使えそうなヤツを選べば良かった・・・」 

―なるほど。 

蝙「自衛隊宿舎あたりを実験場にして、腕の立つ狙撃兵にでも本郷襲わせたらよかった」 

―基本的には直接、本郷を仕留めようとは思わないんですね。 

蝙「当たり前だ! そんなリスク誰が犯すか!」 

―いやー、蝙蝠男さんってホント正直者! 

蝙「・・・危うく喜びそうになった」 

―では、最後になりますが、後輩ヒールの皆さんにアドバイスをいただけますか。 

蝙「ベッピンとヒーローには気を付けろ!」 

―なかなかの名言、ありがとうございました。 

0コメント

  • 1000 / 1000