いよいよ今年のグランプリも半分を消化(というかロートルからすると第11戦はもう終盤くらいのイメージですが、ほんとレース数増えたなぁ・・・)。独走するメルセデスと、なかなか浮上しないヴェッテルの母国・ドイツでのレースがいよいよ12時間後に迫ってまいりました。
パリで42℃を記録するほどの熱波に、またまた襲われているヨーロッパですが、気温は徐々に下がってきているものの、明日の決勝は雨かも?なんて不安定な天候のもと、FPからドラマティックな展開となっております。
■FP完全制覇のフェラーリに悪魔が牙をむく
オッサン世代は"ホッケンハイムの森には悪魔が住んでいる"というフレーズが懐かしいのだけど、その森に突入するルートは廃止され、すっかり悪魔とは御無沙汰になっているのかと思っていました。しかし、ちゃっかり悪魔は生き延びておるようで、今回は昨年に続きヴェッテルを、そして同僚のルクレールもついでとばかりに歯牙にかけていったようです。
FP1回目から3回目まで、タイムシートの1-2を独占して「これはフェラーリくるぞ」と誰もが思っていましたが、予選Q1でまさかのトラブル敗退。原因は、ヴェッテルはターボ吸気系のトラブル、ルクレールは燃料系のトラブルと、微妙に違うようですが、ビノット代表いわく「これまでにない新しい問題」らしいので、決勝の走行に影響が無ければいいのですが・・・例え最後尾スタートとはいえ、今のフェラーリのポテンシャルならポイント圏内まで伸し上がることも夢ではないと思うので、特に母国ファンの視線を集めているヴェッテルには奇跡を見せて欲しいものです。それにしても、こういうことがあるからF1って面白い。
▲DTMで活躍したドイツ人ドライバー、ベルント・シュナイダーをリスペクトした特別カラーリングのメットまで用意したのに。
■フェルスタッペン、2度目のフロントロウ!
有力候補のフェラーリが2台揃って転落してしまったこともあって、レッドブルのフェルスタッペンが今季2度目のフロントロウを手にしました!
唯一の不安材料は、こちらもターボ吸気関係のトラブルですね。山本MDいわく「小さな問題」のようなので、決勝までには解決して欲しいところ。フェルスタッペン本人も前回のオーストリアでは気合い空回りでアンチストールしちゃいましたが、今回は上手くスタートして欲しいですね。セオリー通りミディアムでのスタートを狙っていたレッドブルですが、トラブルの影響もありソフトでのスタート。対するハミルトンはミディアムなので、グリップ差を活かして序盤でオーバーテイクして差をつけて欲しいですね。
ガスリーもフリー走行2日目で自身のミスでマシンを壊してしまったものの、予選ではボッタスの後ろ、4番手につけているので、十分にトップ争いに絡めるはず。二人そろって表彰台、なんてことになったらどうしましょう!と今からワクワクです。
■125周年、200戦目のメルセデスの高揚
今回のグランプリは、メルセデスにとって記念すべきホームグランプリ。レースそのものの看板スポンサーにもなって、サーキット周辺はメルセデス一色というところ。ザウバー元代表のペーターさんの姿もあったり、メインスタンド辺りには歴代の名車がミニカーみたいに展示されてたり。
でも一番「面白い!粋だ!」と思ったのはチームスタッフたちが、当時の出で立ちでコスプレしてること。メカニックは白ベースのつなぎにハンチング帽、ドライバーも当時のスーツをイメージしたデザインに。なによりトト代表以下、ディレクター陣はスーツにネクタイ、サスペンダー、革靴の紳士フル装備! このクソ暑い最中に!(笑) こういうとこにこだわる姿は、ファンにスポーツエンタメを提供する存在でもあるという自分たちの役割を果たすというチームの姿勢が見えて、嬉しくなりますね。くれぐれも熱中症に気を付けて!
▲そしてもちろんマシンも記念仕様。前半分が白いペイントで、真ん中あたりで徐々に剥がれているようにペイントされています。このペイントの意味については、以下のF1-Gate.comの記事に紹介されていますが、一部抜粋しましょう。
【メルセデスとシルバー・アロー】
シルバー・アローの誕生は、現代のF1グランプリが始まる前の1934年まで遡る。その年、最大重量750キログラムというグランプリカーの新しい車両規定がスタートした。
メルセデスは、6月の国際アイフェル・レースにアルミボディを採用した“W25”を送り込む。当時のグランプリでは、各チームがマシンにそれぞれの国のナショナルカラーを施しており、メルセデスW25はドイツのナショナルカラーである白色に塗られていた。しかし、レース前日の車検で純白のW25の重量は、規定の750キログラムをちょうど1キログラムオーバーしていた。
当時メルセデスチームの監督を務めていたアルフレート・ノイバウアは、ファクトリードライバーであるフォン・ブラウヒッチュの「これではみんなが顔に泥を塗られてしまいますよ」の“塗る”という一言にひらめき、急遽メカニックたちにボディのすべての塗装を剥がし取ることを指示。作業は夜を徹して続けられた。
翌朝、純白のボディカラーを脱ぎ捨て、アルミの地肌そのままで再び計量にやってきたW25は、規定重量ちょうどで計量をパス。そして、フォン・ブラウヒッチュがドライブするシルバーに輝く“銀の矢(シルバー・アロー)”は、ニュルブルクリンクのコースレコードまで更新して完全勝利を収めた。
それ以降、メルセデスのレーシングカーはシルバーがトレードマークとなり、シルバー・アローの愛称で呼ばれるようになる。モータースポーツにおけるドイツのナショナルカラーも、白色からシルバーへと変更になった。
■ハミルトン、ボッタスの憂鬱
祝賀ムードの中、フェラーリ転落にも助けられて、ハミルトンがPPを、ボッタスが3番グリッドを手にしたメルセデスですが、気になることもチラホラありますね。
まずはハミルトンの体調。フリー走行からパッとしなかったのは、体調不良もあったようで予選も「ついにオコンの出番か?」となるくらい危うかったようです。予選終了後のハミルトンが車から降りてくる動作も弱弱しく、インタビューも元気がなかったのはそのせいでしょうか。そんなコンディションでもPP獲れちゃうハミルトンはやはり化け物ですが、決勝までに完全回復できるのか、ちょっと気になるところではあります。
そしてチームメイトのボッタス。彼の場合、体調というよりは心の問題を感じます。前戦イギリスでのピットストップ回数問題が尾を引いているのか、どうもハミルトンとの間に距離を感じるこの週末。インタビュー後のこの、ハミルトンを遠巻きに見るようなボッタスの姿はそれを暗に伝えようとしているかのようでした。
来年度のシートについて8月までの結果で判断するとトト代表に公言されたボッタスとしては、やはりフェアにハミルトンと雌雄を決したいでしょうが、その辺りはどうもハミルトンが一枚上手な感じですからね・・・。チーム内バトル、まだまだこれから本番じゃないでしょうか。くれぐれもハースの2人みたいにならないように(;´Д`A ```(まだギュンターのオッサン、怒ってるみたいだし)
▲記念撮影の時もなんだか余所余所しい(笑)
■アルファロメオ、ハースが元気
では予選の結果をおさらい。
目立つところでは、5番手のライコネン、6番手のグロージャン、8番手のペレスあたりが気になるメンバーでしょうか。ライコネンは今季最高位ですね。この週末、特にアルファロメオとハースの調子がいい感じです。本家フェラーリがダメダメなぶん、この2チームにはいいところを見せて欲しいものです。
一方、マクラーレン勢はサインツがQ3まで残ったものの、ノリスは16番手と不調。そのノリスに詰まってしまってタイムを出せなかったアルボンとクビアトも、マシンセッティングが上手く決まらないのか沈没。ルノーも地元・ヒュルケンベルグが一瞬速さを見せたシーンもあったのですが、どうも伸びが無いですね。
現地の天気を見てみると、現時点で小雨が降っており、今後も20~50%の降水確率となっております。気温も20℃前後の予想で、これまでとはコンディションが様変わりしそうなので、もし雨のレースともなれば、スターティンググリッドはあまり意味を為さなくなるかもしれません。そうなるとマシンコントロールに長けたドライバーが有利。ライコネンあたりが表彰台上がってくれると面白いですけどね。
今年はまだ本格的なウエットのレースがありません。そういう意味ではここいらでちょいと、雨のレースを見てみたい気持ちもあります。さて、どうなりますか。
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